
【歯車加工】DP30ってなに?インボリュートスプラインの図面を読み解く
タチバナ製作所では、ワイヤーカットで歯車加工を行うことがよくあります。
特に内径のインボリュートスプラインや小径歯車など、カッターが入らないような加工ではワイヤーカットが大活躍です。
ただし、歯車の図面って普通の部品図とは少し違っていて、**諸元(しょげん)**と呼ばれる数値を読み解かないと作図すらできません。
この「諸元の意味」を理解していないと、正しい歯形を出すことができないんです。
うちの親父さん(=タチバナ製作所の初代)も、昔から歯車の依頼を数多くこなしてきたので、頭の中にそのノウハウがびっしり。
ただ、私が聞いてもすぐ忘れてしまうので(笑)、今回は自分用メモ兼・歯車図面の読み方ブログとしてまとめておきます。
■歯車図面の基本(まずは公式から)
まずは歯車設計の基本公式:
d = m × z
d:基準ピッチ円
m:モジュール(歯の大きさ)
z:歯数
逃げ方向は「基準ピッチ円 × 1.25倍」が目安です。
■諸元の読み方(DP30・PA30°・Z12 など)
① DP30
これはインチ表記でのモジュールを意味します。
DP = 25.4 ÷ m なので、
25.4 ÷ 30 = m = 0.8467(モジュール)
② PA30°
圧力角(歯がかみ合う角度)は30°。(20°が一般的)
③ Z12
歯数は12枚。
④ 転位係数
タチバナ製作所では、作図時にあまり使用しません。
⑤ 大径・小径
使用ソフト「ナスカ」では、
刃先=大径、刃底=小径 で入力します。
本来は内歯車・外歯車で逆になりますが、ナスカには切替機能がないため注意!
⑥ ピン寸法
検査時に使用するピンゲージの径と距離。
外歯車は「オーバーピン」、内歯車は「ビトウィーンピン」で確認します。

■作図時のチェックポイント
ナスカで諸元を入力したら、必ず以下を確認!
- ピン間距離が指定値になっているか?
- 大径・小径の設定に間違いはないか?
この2つを押さえておけば、トラブルを防げます。
歯車は数値の読み違いひとつで全てが狂うので、慎重さが命です。
■まとめ
歯車図面は数字の羅列に見えても、そこには設計者の意図が詰まっています。
その意味を理解できると、加工の精度もぐっと上がる。
自分で計算して理解することで、ワイヤーカットの強みを最大限に活かせると思います。
これで忘れても、この記事を読み返せば大丈夫!
親父と息子たった二人の町工場の息子より。
ワイヤ放電加工・マシニング加工
㈲タチバナ製作所
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